パウンド型合挽肉 温度上昇モニタリング

パウンド型を湯せんで低温調理して、ミートローフが出来るのか?
どのように温度が上昇するのかをモニタリングし安全性を検証。
このレシピの生い立ち
一方、ドリップがたくさん出る点をどうするか?また、香ばしさが足りない点をどうするか?などクリアしなければならない問題もあります。
より美味しいミートローフの完成を目指して、さらに研究を進めたいと思います。
16×7×5.5cmのパウンド型1台分。パウンド型はアルミ製を使用。
パウンド型合挽肉 温度上昇モニタリング
パウンド型を湯せんで低温調理して、ミートローフが出来るのか?
どのように温度が上昇するのかをモニタリングし安全性を検証。
このレシピの生い立ち
一方、ドリップがたくさん出る点をどうするか?また、香ばしさが足りない点をどうするか?などクリアしなければならない問題もあります。
より美味しいミートローフの完成を目指して、さらに研究を進めたいと思います。
16×7×5.5cmのパウンド型1台分。パウンド型はアルミ製を使用。
作り方
- 1
“ミートローフ”は従来、ミンチ肉のタネをパウンド型に入れてオーブンで焼き上げる料理であるが、それを低温調理で出来ないか?
- 2
パウンド型を湯せんで低温調理して、果たしてミートローフが出来るのか?
- 3
パウンド型に入れたミンチ肉が、どのように温度が上昇するのかをモニタリングし、料理の安全性を検証する。
- 4
今回は牛と豚の“合いびき肉”を使用するので、牛肉より長い加熱時間を必要とする“豚肉の加熱安全基準”をクリアしなくては
- 5
ならない。
豚肉の安全基準は、厚生労働省の定める基準「63℃ 30分、または、これと同等以上の方法」である。 - 6
ここで間違えてはならないのが、この基準は「肉の中心がこの温度を保つべき時間」であって、「調理時間」ではない。
- 7
そして、この厚生労働省の基準を「調理時間(BONIQ設定時間)」に置き換えて算出したものが、公式サイトで公開している
- 8
「豚肉の加熱温度時間」(https://boniq.jp/pdf/ttguide.pdf)である。
- 9
<条件>
・合挽肉を使用
・【16×7×5.5cm】サイズのアルミ製パウンド型を使用
・BONIQ設定 64℃
で行い - 10
<実験①>
湯せん中にココットを逆さまに沈めた台にして水位を調整し、
- 11
その上にパウンド型を置いて低温調理する。湯せんはパウンド型が水没しないギリギリの水位を保つ。
- 12
<実験②>
パウンド型ごとフリーザーバッグに入れ空気を抜いて密封し、
- 13
湯せん中に完全に沈めて低温調理を行う。
- 14
以上の条件にて芯温計を刺し、どのように芯温度が上昇するのかを検証した。
- 15
<実験①>
玉ねぎはサラダ油で透明になるまで炒め、あら熱を取っておく。パン粉は牛乳に浸しておく。
- 16
全ての材料をボールに入れ、粘り気が出るまでよくこねる。
パウンド型(アルミ製)にラップを敷き、ミンチ肉を詰める。 - 17
パウンド型を上から数回落として空気を抜く。冷蔵庫に入れて1時間休ませる。
- 18
ココットなどの台を置いて高さを調整した湯せんにパウンド型を入れ、BONIQ 64℃で低温調理を行う。
- 19
湯せんの水位はパウンド型が水没しないギリギリまで湯を張って行う。(湯が減って水位が下がらないように時々足す。)
- 20
芯温計を刺して、どのように温度が上昇するかを検証する。
- 21
<実験②>
パウンド型にタネを入れて冷蔵庫で休ませるまでの工程は、実験①と同じ。
- 22
パウンド型ごとフリーザーバッグに入れ空気を抜いて密封し、湯せん中に完全に沈めBONIQ 64℃で低温調理を行う。
- 23
芯温計を刺して、どのように温度が上昇するかを検証する。
- 24
<結果>
さてその結果は・・・
- 25
「①湯せんの高さを台で調整し、その上にパウンド型を置いて低温調理」の場合、温度上昇が緩やかであり、
- 26
調理開始から4時間10分後に58.4℃に達したが、5時間の時点でも58.4℃のままであった。
- 27
もしかするとこのまま調理を続ければ少しは温度が上がったのかもしれない。
- 28
しかし、この58.4℃というのはパウンド型の中心付近を計測したものであり、一番表面の温度は約54℃とさらに低かった。
- 29
おそらくこれ以上調理を続けても安全レベルには達しないと判断し、5時間で終了した。
- 30
表面ギリギリまで湯せんを張っているとはいえ、湯せんからパウンド型の上部が出ている状態だと、
- 31
上部からの加熱がされないため表面の温度が上がらないのではないか。
- 32
ちなみに豚肉の安全加熱基準に当てはめると58℃では5時間、54℃では31時間33分以上芯温を保つ必要がある。
- 33
(“調理時間”となるとさらに4~5時間プラスされる。)これではミートローフの調理時間としては非現実的である。
- 34
「②パウンド型ごとフリーザーバッグに入れ空気を抜いて密封し、湯せん中に完全に沈め低温調理」では、
- 35
順調に温度が上昇し、調理開始から2時間20分後に芯温が64.0℃まで到達した。
- 36
豚肉の安全基準を達成するには、64.0℃を22分30秒保つ必要があるので、
- 37
2時間20分+22分30秒=2時間42分30秒
で安全レベルに達することが出来るということになり、 - 38
これが調理時間=BONIQ設定時間となる。
- 39
(※レシピに記載している設定時間は通常、安全基準の時間きっかりではなく少しのバッファを加えている。)
- 40
例えば「茶碗蒸し(ID:20331339)」や「かぼちゃのなめらかプリン(ID:19074409)」のように型が小さく、
- 41
素材も生食できる卵などの場合は、周囲からの熱で表面を含む全体が加熱されるので、
- 42
調理中に型上部が水面上に出た実験①の方法でも特に問題にはならなかった。
- 43
しかし加熱殺菌が必要である肉などを使用する場合、または型が大きく加熱すべき範囲が広い場合は、
- 44
湯せん中に完全に食材を沈め、全方向からの加熱を行う必要があるということがわかった。
コツ・ポイント
この実験の結果、湯せん中に完全に型を沈めれば安全にミートローフを作ることができることがわかりました。
オーブンで作ったものとは違う、とてもソフトで新しい食感です。
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