先焼き?後焼き?究極のハンバーグ比較実験

BONIQではいろいろなハンバーグのレシピがある。それぞれの美味しさがあるが、究極のハンバーグを求めてさらに研究を行う。
このレシピの生い立ち
これまで低温調理ハンバーグのやり方はいろいろあり、それぞれの良さがあるものの、どのやり方が一番美味しくできるのか疑問に思っていました。
作り方
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<比較実験背景>
BONIQマニアにおくる、低温調理の疑問あれこれの検証。
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日々低温調理をしていると、食材がこんなに美味しくなるのか!という感動がある一方、
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本当にこれで良いのか?もっとベストな方法があるのではないか?という疑問も同時にわいてくる。
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最近では低温調理のメソッドに関する情報が増えつつあるが、それが本当に正しいのか?
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実際調理をする中で出てきた疑問を検証してみる。
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BONIQではいろいろなハンバーグのレシピがある。それぞれの美味しさがあるが、究極のハンバーグを求めてさらに研究を行う。
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低温調理のメリットは細かい温度設定ができることであり、特に肉や魚の場合タンパク質の凝固と関連して
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1〜2℃の違いでも仕上がりが変わることがあるが、狙った温度で理想の状態に仕上げられる。
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低温調理のデメリットとしては、仕上がり温度が低いため冷めやすいということがある。
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「68℃ 本格派!デミグラス煮込みハンバーグ(ID:21177307)」は煮込みということもあり、
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少しでも「熱い状態」且つ「肉が硬くならない」を両立させようと68℃に設定したが、
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「65℃ ぎゅっと肉肉しい!低温調理ハンバーグ」
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https://boniq.jp/recipe/?p=26490
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では65℃設定で柔らかくジューシーなハンバーグに仕上げている。
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さてこの温度差でどのくらい違うのか?
また、前者の「68℃ 本格派!デミグラス煮込みハンバーグ(ID:21177307)」 - 16
などソースとタネを一緒にバッグに入れて調理する場合、工程の順番として必然的に「成形したタネを焼いてからBONIQ」
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することになるが、ソースとタネを別にする場合はBONIQ後に焼くことができる。
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後者の「65℃ ぎゅっと肉肉しい!低温調理ハンバーグ」
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https://boniq.jp/recipe/?p=26490
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ではタネを焼かずに低温調理をすることで、肉をパンプアップさせている。
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このように温度や工程の違いによって仕上がりにどのような差がでるのか、比較実験を行う。
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ハンバーグ(牛豚合いびき)を
実験① タネを先焼き → BONIQ 65℃
実験② タネを先焼き → BONIQ 68℃ - 23
実験③ BONIQ 65℃ → タネを後焼き
実験④ BONIQ 68℃ → タネを後焼き - 24
さてどのやり方が一番ジューシーで柔らかい、美味しいハンバーグができるのか?
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<BONIQ設定>
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実験①③
65℃ 1時間10分(1:10)
実験②④
68℃ 1時間(1:00) - 27
※参照:低温調理 加熱時間基準表(https://boniq.jp/pdf/ttguide.pdf)
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<比較実験>
ハンバーグのたねを作る。
ボウルに合いびき肉と塩を入れ、粘りが出るまで練る。 - 29
玉ねぎ、乾燥パン粉、牛乳、溶き卵、ナツメグ、こしょうを加えて捏ねる。
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捏ねる。
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タネを8等分(1個 150g、厚さ約1.5cm)にして成形し、冷蔵庫で2時間寝かせる。
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実験① タネを先焼き → BONIQ 65℃ 1時間10分
実験② タネを先焼き → BONIQ 68℃ 1時間 - 33
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実験③ BONIQ 65℃ 1時間10分 → タネを後焼き
実験④ BONIQ 68℃ 1時間 → タネを後焼き - 36
その後比較試食を行う。
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<比較実験結果>
ドリップの量比較。
右から:①先焼き65℃ 36g、②先焼き68℃ 38g、③後焼き65℃ 62g、 - 38
④後焼き68℃ 65g
まずドリップの量を見てみると、実験①②の低温調理「前」にタネを“先焼き”したものは
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36~38gなのに対し、実験③④の低温調理「後」にタネを“後焼き”するもの、つまりタネを生のまま焼かずにBOINQした
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ものは62~65gと倍近いドリップが流出している。
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断面の比較。
左上:①先焼き65℃ 右上:②先焼き68℃ 左下:③後焼き65℃ 右下:④後焼き68℃ - 42
断面の画像からもわかるように①②は肉汁がツヤツヤ見えている。
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ということは、実験①②の“先焼き”の方が肉汁が失われずジューシーに仕上がっていると予想される。
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仕上がりのハンバーグ比較。
左上:①先焼き65℃ 右上:②先焼き68℃ 左下:③後焼き65℃ 右下:④後焼き68℃ - 45
また、仕上がりのハンバーグがどれくらい膨らんだかを比べてみると、実験①②の“先焼き”が3cmなのに対し、
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実験③④の“後焼き”は2.6cmであり、“先焼き”の方が多く膨らんでいる。
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すなわち、実験①②の“先焼き”の方がふっくら仕上がっていると予想できる。
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さらに実験③④の“後焼き”の内部温度を測ってみると、③65℃→71℃、
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④68℃→74℃ になっていた。
やはり、後焼きすると内部温度が上昇する。 - 50
実食すると、実験①②の“先焼き”はふんわり柔らかくジューシーである。
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①65℃と②68℃を比べると、僅差ではあるが①の方がやや柔らかくジューシーである。
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実験③④の“先焼き”は焼き立て熱々であり、見た目も焼き色がきれいでツヤツヤしている。フレッシュな香ばしさが食欲をそそる。
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ドリップが多く流出してしまった分、実験①②と比べると引き締まっている。③は硬いというわけではなく家庭で食べるハンバーグ
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としてはじゅうぶんに美味しい。④は火が入りすぎである。これは設定温度の違いもあるが、主な原因はフライパンでの後焼きの時に
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綺麗な焼き色になるまで油をかけながら焼く(=アロゼ)工程が長すぎたからであると思う。
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完璧な美しい焼き色を付けようとすると火が入りすぎるようだ。少し手前でやめておくのが良いと思う。
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実験①②は時間が経って冷めてきてもジューシーさと柔らかさを保っていたが、実験③④はジューシーさが失われ硬くなった。
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③④は熱々の段階ですぐに食べる方が良い。
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また重要なのが実験①②と実験③④では旨味の出方が違う。①②の方が丸みを帯びた旨みが感じられる。
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①②は肉汁が多くジューシーというのもあるが、それにしても③④と比べて「旨味」が強い。
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また、一つ気になったのが玉ねぎである。今回はみじん切りにした玉ねぎを炒めずに生のまま入れたが、
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やや後味に“生”玉ねぎの辛みが残る。食べている途中はさほど気にならないかもしれないが
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後から「生玉ねぎ感」が追いかけてくる。特に①②③は辛みがはっきりしている。
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特に①②③は辛みがはっきりしている。どうしても生で入れる場合は新玉ねぎなど辛味が少なく甘いものを使うと良いかもしれない。
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しかしやはり65℃~68℃の温度帯で調理する場合は、玉ねぎは炒めて甘くしたものを入れた方が良いと思う。
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まとめると、
香ばしさ ③≒④>①≒②
柔らかさ ①>②>③>④
ジューシーさ ①>②>③>④ - 67
旨味の強さ ①≒②>③≒④
総合した美味しさ ①>②>③>④ - 68
肉の表面を強火でしっかり焼いて旨みを閉じ込める下処理(=先焼き)は、「リソレ」と言ってフランス料理の中で
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最も重要な技法の一つであるのだが、ハンバーグを低温調理をする上でも大事であることが証明された。
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今回そもそも68℃に設定したのは、食べる時に65℃よりも冷めにくいのではと考えたからだが、
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結論からいうとどちらも冷めやすいので、それよりも「お皿をよく温めておくこと」「盛り付けたらすぐ食べること」
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の方が重要だと思う。
究極のハンバーグを目指すには
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・玉ねぎは炒めて甘くしたものを入れること・低温調理「前」にタネを“先焼き”すること
・BONIQ設定は 65℃ - 74
・お皿をよく温めておくこと、盛り付けたらすぐ食べること
この4つのポイントを守って究極のハンバーグを目指したい。
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《作った感想》
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ハンバーグは家庭料理としてはとても一般的ですが、本当は難しい料理だと思います。
割れてしまったり、 - 77
焼きすぎて硬くなってしまったり、生焼けになってしまったり。中を割って確かめるとせっかくの肉汁も流出してしまいます。
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低温調理の場合は、タネの厚さに対する設定温度と時間を守れば生焼けや焼きすぎの心配がなく、
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理想の状態に仕上げることができるのです。
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《低温調理 いつ焼くべきか?比較実験シリーズ》
- 81
「牛ヒレローストビーフいつ焼くべきか?比較実験(ID:21884142)」
- 82
「牛ももローストビーフ いつ焼くべきか?比較実験(ID:21766776)」
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《ハンバーグの低温調理レシピ》
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「65℃ ふわふわ煮込みハンバーグ(ID:19796486)」
- 85
「68℃ 本格派!デミグラス煮込みハンバーグ(ID:21177307)」
- 86
「65℃ ぎゅっと肉肉しい!低温調理ハンバーグ」
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https://boniq.jp/recipe/?p=26490
コツ・ポイント
今回の実験を通してハンバーグ作りの大切なポイントがわかったので、これを踏まえ究極のハンバーグを目指したいと思います。
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