一人暮らしのためのジャガイモの冷凍

ジャガイモは普通、常温でさえ結構日持ちがしますので、余り保存とか、考えないと思いますが、冷凍ジャガイモで…

…アンデスの保存食材「チューニョ」を作ります。年単位の保存がききますので、食材に余裕がある時期に作っておく、…

…とか言うのは、貧乏所帯の生存戦略、というのは言い過ぎでしょうが…。さて…

例えば豆腐・コンニャクのように、冷凍で食味に変化が生じる食材では、それを逆手にとるように…

…伝統食材が作られています。凍み豆腐／コンニャクはフリーズドライするわけです。ジャガイモも似たようなことで…

…伝統食材が作られていますが、こちらはフリーズドライ化ではなく、解凍したら圧搾脱水を行います。以下、…

…Aパートで、普通に冷凍したジャガイモの利用法を検討してから、Bパートでチューニョの作り方を紹介し、…

…最後、Cパートで、チューニョの利用例として、肉じゃがに挑戦します。

ではまずAパート。ジャガイモの冷凍実験です。皮付きのまま、ジャガイモ1個を六つ切りにして冷凍庫へ入れて一昼夜おき…

…そのあと冷蔵室で二日間おいて解凍しました。

(*) このあと、右記の実験の予定ですが、あまり意味はなさそう、と思ったのは、チューニョのせい。Bパートへどうぞ。

1.普通に食味をみてみましょう。単に解凍しただけのものをかじってみます。

2.次に順に、茹でる、蒸す、レンチンする、揚げる、ホイル焼きにする、を試してみました。

(*) カマボコ的食感？でもモノはおじゃがのままなんで。黒変するのは、青酸塩の無毒化と間連するという説も。本稿は…

…この点に踏み込みません(よくわからん。記20190513)。

続いてBパート。チューニョを作ってみます。チューニョは、アンデス地方の伝統食材で、夜間に凍結させたジャガイモを、…

…日中、圧搾脱水し、これを繰り返します。というか、現地の気候ではこれが繰り返されます。やってみましょう。

まず、ジャガイモを、皮付きのまま冷凍庫へ入れて凍結させます。はじめは二昼夜、おいておいた方がいいでしょう。…

…ちゃんと凍結させないと、品質が低下します。

続いて解凍します。日本では、常温解凍だと腐敗が始まってしまいます。冷蔵室で二昼夜おいておきます。

解凍されたら、圧搾脱水します。現地では日中、女たちが素足で踏んで脱水するようです。苛酷ですね。ここでは乾いたタオルで…

くるんでから、体重をかけて手で圧力をかけ、水分を絞りだします。最初の二、三サイクルは手でやらないと割れてしまいます。…

…別にそれでも食べられますが、丸のままの方が、完成したとき「可愛げ」がありますので…。先は長いので、…

…あまり無理して絞らなくていいと思います。

手で圧搾脱水し終わったら、とっとと冷凍室へ戻し、凍結させます。通常の状態のジャガイモより、水分が染みだしている分、…

…もたもたしていると傷みがすすみやすいようです。

以上で1サイクル。これを繰り返します。作業が面倒だったり立て込んでいるときは、しばらく冷凍庫へ放置して…

…おきましょう。金曜夜に冷蔵室へ移して日曜ゆっくり、な感じ？

3サイクルくらい続けると、突然小さくなり始める感覚があります。錯覚でしょうか？いちいち調べてませんが…。ただ、…

…これを越えたら、だいぶしっかり「石コロ化」してきているので、タオルでくるんだら足で踏んでみてもいいでしょう。…

…割らないように、じわっと、体重を徐々にかけていきましょう。現地では、元気に足踏みするようですが（冷たいからね）。…

…あ、あと、ジャガにも一個一個、個性があるようで、素直に色が徐々にくすんでいくヤツもいれば、ある日唐突に…

…真っ黒になるヤツもいます。デンプンの問題だとおもいますが。解凍時に腐敗臭がなければ気にしなくていいです…

…（もっとも、可愛いげはなくなります）。皮も作業の最中に自然に剥けたりします。ついている方が「可愛げ」が…

…ある気がしますが、どっちでもいいです。

5～10サイクルで、解凍しても水分が出てこなくなります。ここまで来たら、天日でしっかり芯まで、水分を抜きましょう。…

…あ、わたし、この段階でネズミにやられたことがあります。東京、地味にいるんですねえ。気を付けましょう。食べちゃ…

…だめですよ。齧りあとは病原菌の塊です。生のジャガイモなら切ればいいんですがねネ。やってみればわかります。さて…。

一週間とか（適当です）、放っとくと、かちこちの丸っこい、灰色の「軽石」みたいなのができます。元のサイズの…

…5分の1くらいでしょうか。これで完成です。可愛らしいもんです。いとおしんでてもいいですが、保存はシール付き…

…プラスチック・バッグとかに入れましょう。あれば乾燥剤（お菓子の残りとか）も入れましょう。年の単位で保ちます。

（補足：保存を意図しているなら、おそらく、１か月程度は天日乾燥させるべきだろう。天日乾燥用の「網かご」みたいな商品が

あるが、それを買うくらいならそもそもチューニョを作らないだろう。ただ、上に網を伏せて置くとかして

「やられる」のを防ぐ必要はある。記：230105）

最後のCパートです。チューニョを戻して肉じゃがにしましょう。たいていのジャガイモ料理に使えます。

まず、戻しの手順です。軽く擦り洗いしてから、たっぷりの水に入れて、二日間、冷蔵室に…

…おきます。途中で一度、水を換えましょう。皮はまだ気にしなくていいです。

続いて湯がきます。鍋に湯がき用に、水500mlと塩小2分の1を入れ、チューニョも入れます。

沸騰してから15分、中火で茹で、火を止めて蓋をして、15分、放置します。

ほぼ元のサイズに戻り、生のジャガイモと同じ感覚で使えるようになります。ここでは肉じゃがにしましょう。湯から取り出し、…

…ここで皮を剥き、一口大に切ります。

改めて、鍋に、そばつゆの素を分量の水で希釈したもの300mlを入れます。私は肉じゃがは甘めが好きなので、砂糖も加えます。

さらに切ったチューニョ、ビーフジャーキーも入れて点火します。沸騰するまで強火。

そのあと中火に落として、紙の落し蓋もして、煮汁が半量になるまで、30分くらい、煮ます。

(*) 紙の落し蓋については、クックパッド「パレットの料理ラボ／簡単！落し蓋の作り方」…

…「yuki’sキッチン／簡単！意外と知らない落し蓋の作り方」など参照のこと。

ここで櫛切りにした玉ねぎも入れ、5分くらい、玉ねぎが透き通るまで煮立てたら…

…火を止めて蓋をして、30分程度、おいておきます。

このあとさらに煮詰めてもいいですし、ここでいただいてもいいです。温めても冷やしてもいいです。お好みで、完成。

（＊）戻したジャガイモの食感はカマボコ。つまり、「ジャガイモ味のカマボコ」になる（記：191015）。