60℃「乾燥米麹と生米麹」仕上り比較実験

低温調理で発酵調味料を作るにあたり、「乾燥米麹」と「生米麹」を使う場合、仕上がりにどのような違いが出るかを比較検証する。
このレシピの生い立ち
今回は、ユーザー様から「乾燥米麹を使ったレシピを生米麹で代用するにはどうしたら良いか」というお問合せをいただき、仕上がりを比較する実験を行いました。
作り方
- 1
<比較実験背景>
麹を使った発酵調味料は、調味料そのものが旨みいっぱいである。栄養価が高いだけでなく
- 2
腸内環境を整えて消化吸収を改善したり、抗酸化作用や美容効果をもたらすものとされ注目されている。
- 3
BONIQの低温調理では発酵に最適な温度(60℃)を一定に保つことができるので、発酵過程が最短時間で済み、
- 4
簡単に自家製の発酵調味料を作ることができる。
BONIQで紹介する「低温調理 麹シリーズ」では、 - 5
一般的なスーパーなどで購入しやすい「乾燥米麹」を使った発酵調味料のレシピを多く公開しているが、
- 6
「乾燥米麹」と「生米麹」とはどのような違いがあるのだろうか?
以下、参考文献を基に - 7
「乾燥米麹」と「生米麹」の違いをまとめた。
- 8
【乾燥米麹】
水分量:10%以下
保存方法:常温保存
保存期間:長い(6ヶ月~1年) - 9
力価(=発酵のパワー、でんぷんを糖に変える力):生米麹に比べると劣る
栄養価:生米麹とほぼ同じ - 10
販売場所:スーパーマーケット。手に入りやすい。
- 11
【生米麹】
水分量:25〜30%
保存方法:常温保存不可(10℃以下の保存が必要) - 12
保存期間:短い(冷蔵庫で1〜3週間/冷凍庫で3〜6ヶ月)
力価(=発酵のパワー、でんぷんを糖に変える力):強い - 13
栄養価:乾燥米麹とほぼ同じ
販売場所:ネット通販、一部のスーパー。一般的ではない。 - 14
では、低温調理で発酵調味料を作るにあたり、「乾燥米麹」と「生米麹」を使う場合、仕上がりにどのような違いが出るのだろうか?
- 15
BONIQレシピ「60℃ 塩麹(ID:21033738)」を作る際、
- 16
実験1. 「乾燥」米麹を使う
実験2. 「生」米麹を使う - 17
BONIQレシピ「60℃ しょうゆ麹(ID:21033738)」を作る際、
- 18
実験3. 「乾燥」米麹を使う
実験4. 「生」米麹を使う - 19
BONIQレシピ「60℃ 発酵ケチャップ(ID:21433010)」を作る際、
- 20
実験5. 「乾燥」米麹を使う
実験6.「生」米麹を使う - 21
BONIQ設定はすべて「60℃ 7時間」とし、材料、手順はそれぞれ同じにして比較検証する。
- 22
<BONIQ設定>
- 23
60℃
7:00(7時間) - 24
<比較実験>
【実験1〜4:塩麹/しょうゆ麹】
耐熱袋にそれぞれの材料を入れ、全体が均等に混ざるように袋を揉みこむ。 - 25
- 26
【実験5、6:発酵ケチャップ】
それぞれすべての材料をミキサーでなめらかになるまで撹拌し、袋に入れる。 - 27
設定温度に達したら袋を湯せんに入れ、実験1~6(塩麹・しょうゆ麹・発酵ケチャップ 各2種類ずつ)を
- 28
60℃ 7:00(7時間)で同時に低温調理をする。
BONIQの設定時間終了タイマーが鳴ったら袋を取り出し、 - 29
袋の上から揉んで混ぜ合わせる。
それぞれの仕上がりを比較する。
- 30
BONIQセット時:
※肉、魚(生食用を除く)は種類と厚みに応じて加熱設定を変更する。 - 31
参照:「低温調理 加熱時間基準表」https://boniq.jp/pdf/ttguide.pdf
- 32
※食材全体がきちんと湯せんに浸かるよう、十分な水量を用意する。
- 33
※高温・長時間調理時は蒸発による水位減少を防ぐため、最大水量を用意する。
- 34
BONIQ投入時:
※袋内に気泡が残らないよう湯せんに入れながらしっかり空気を抜き、密封する。 - 35
(参考:動画「低温調理用バッグの密封方法」、
- 36
https://www.youtube.com/watch?v=N-t1ox7mox0
- 37
記事「ベストなバッグ密封の仕方 比較実験」ID:20798293)
- 38
※食材全体が湯せんに浸かるようにする。浮いてくる場合は、
- 39
・BONIQ 低温調理コンテナ:コンテナラック、トレーを使用して完全に沈める。
- 40
・鍋:耐熱性の瓶や重しを乗せて完全に沈める。
- 41
※高温・長時間調理時は、湯せんにカバーをして水位減少を防ぐ。
- 42
・BONIQ 低温調理コンテナ:コンテナルーフを使用する。
・鍋:ラップを使用する。 - 43
<比較実験結果>
- 44
【実験1、2:塩麹】
外観:「生米麹」の方が汁気が多い。 - 45
食感:どちらもやわらかい。「生米麹」の方がやわらかいが、大差はない。
- 46
味わい:「生米麹」の方が塩気がややまろやかに感じるが、大差はない。
香り:ほぼ同じ。 - 47
【実験3、4:しょうゆ麹】
外観:「乾燥米麹」の方は、米麹にしょうゆが染み込んでいるが、 - 48
「生米麹」の方は、しょうゆが染み出しており汁気が多い。
- 49
食感:どちらもやわらかい。「生米麹」の方がやわらかいが、大差はない。
- 50
味わい:「生米麹」の方が塩気がややまろやかに感じるが、大差はない。
香り:ほぼ同じ。 - 51
【実験5、6:発酵ケチャップ】
外観:ほぼ同じ。 - 52
食感:どちらもやわらかい。「生米麹」の方がやわらかいが、大差はない。
- 53
味わい:「生米麹」の方がより甘みが増し、甘酸っぱい。
香り:ほぼ同じ。 - 54
<まとめ>
低温調理による発酵調味料作りにおいて、「乾燥米麹」と「生米麹」での仕上がりを比較した結果、
- 55
どれも「生米麹」を使った方が水分量が多く仕上がった。塩麹やしょうゆ麹など、
- 56
麹の分量の割合が大きいものほど、その水分量の差が出る。
「生米麹」で作った方が粒がやややわらかく、 - 57
塩気が若干まろやかに感じるが、食べ比べて初めてわかるレベルである。香りは、ほぼ同じで違いはわからなかった。
- 58
つまり、両者は水分量の違いがあるとは言え、味わいの違いはあまりないので、
- 59
発酵調味料は「乾燥麹」「生麹」共に同量(重さ)で作って問題ないと言える。
- 60
注:
ただし、厳密に水分量を同じにしたい場合は水分の調整が必要な場合がある。 - 61
(お菓子に使う場合など:参考「58℃ 砂糖不使用!低温調理 発酵あんこ(ID:21959756)」)
- 62
生米麹の水分量は2〜3割程多くなるので、「乾燥麹」を使ったレシピを「生麹」で代用する場合は水分を7〜8割程度に
- 63
減らすなどの調整が必要。(「生麹」を使ったレシピを「乾燥麹」で代用する場合は、水分を2〜3割増やす。)
- 64
例)生麹 100g→乾燥米麹 100g + 水 25g(もしくは乾燥米麹 80g + 水 20g)
- 65
※あくまでも目安で、商品によって水分量は同じとは限らないため、微調整する。
- 66
当レシピに関する参考文献は、BONIQ 公式低温調理レシピサイトにてご覧ください。
- 67
https://boniq.jp/recipe/?p=39884
- 68
《作った感想》
- 69
比較実験の結果、まずは予想通り「生米麹」の方が「乾燥米麹」のものよりも水分量が多く仕上がりました。
- 70
水分量調整のために生米麹の量を減らす(または水分を減らす)という選択もありますが、肝心な味わいの差があまりなかったので、
- 71
調味料として使う分には水分量はさほど問題ではないと感じました。微妙な味わいの差は
- 72
「生米麹の方が力価(発酵のパワー、でんぷんを糖に変える力)が強い」ということもありますが、それ以外にも、
- 73
米麹の「質」によるところもあるようです。
今回比較実験を行った塩麹、醤油麹、発酵ケチャップにおいては、 - 74
厳密に水分量を調整をしなくても、どれも間違いなく美味しく仕上がりました。
- 75
参考資料によると、「生米麹」は力価は強いものの水分量が多いことにより雑菌に弱く、自己発酵で
- 76
品質劣化が進み風味が変化しやすいとされています。また常温保存ができず保存期間が短めです。
- 77
一方、「乾燥米麹」は生米麹に比べて力価は劣りますが、雑菌が繁殖しにくく長期保存が可能で、入手しやすいのが特徴です。
- 78
乾燥米麹と生米麹は、どちらかが優れているというわけではなく、どちらも一長一短があります。栄養価はほぼ同じで、
- 79
どちらも食材の旨味を引き立てる力が同様にあり、基本的には同じように使うことができます。
- 80
《低温調理 麹シリーズ》
- 81
「60℃ 低温調理で手作り塩麹(ID:21314012)」
- 82
「60℃新玉ねぎ麹&新玉ねぎ麹ドレッシング(ID:20896291)」
- 83
「60℃ 低温調理麹(甘麹・醤油麹・塩麹)(ID:21033738)」
- 84
「60℃ 腸内環境改善◎低温調理 キウイ麹(ID:21112225)」
- 85
「60℃ 下味付けに!低温調理 トマト麹(ID:21133563)」
- 86
「60℃ コチュジャン(甘辛みそ)(ID:21299625)」
- 87
「60℃ 三升漬(さんしょうづけ)(ID:21169992)」
- 88
「60℃ 豆板醤(トウバンジャン)(ID:21404728)」
- 89
「60℃ しその実しょうゆ麹:薬味に(ID:21404990)」
- 90
「60℃ 発酵ケチャップ:米麹の甘み(ID:21433010)」
- 91
「60℃ にんじん麹ドレッシング(ID:21402238)」
- 92
「60℃~ とうもろこし麹コーンポタージュ(ID:21608064)」
- 93
「60℃ いちじく麹:不老長寿の果物丸ごと(ID:21609482)」
- 94
「60℃ ひよこ豆味噌:高栄養で甘く優しい(ID:21323420)」
- 95
「60℃ 玉ねぎ麹:簡単、万能!発酵調味料(ID:21625994)」
- 96
「60℃ 玉ねぎしょうゆ麹ドレッシング(ID:21454442)」
- 97
「60℃ ごま麹ドレッシング(ID:21428395)」
- 98
「60℃ かつお節と昆布の合わせだし醤油麹(ID:21495811)」
- 99
「60℃にんにく塩麹:常備必須の発酵調味料(ID:21607923)」
- 100
「60℃ 海苔しょうゆ麹:旨味も風味も豊か(ID:22251095)」
- 101
「60℃ 生姜しょうゆ麹:まろやかな味(ID:22276742)」
- 102
「60℃ ココア麹ペースト&活用法(ID:22271000)」
- 103
「60℃ 栗麹&活用法(ID:22361825)」
- 104
●BONIQ 低温調理用耐熱袋(湯せん、冷凍、冷蔵可能)は「BONI BAG」で検索
- 105
●BONIQ 低温調理コンテナ&コンテナアクセサリー(ラック、トレー、フタ、ジャケット)は「BONIQ コンテナ」で検索
- 106
●BONIQ 深型ホーロー鍋は
「BONIQ 鍋」で検索 - 107
●低温調理用耐熱袋の密封方法
https://www.youtube.com/watch?v=N-t1ox7mox0 - 108
●ベストなバッグ密封の仕方
https://boniq.jp/recipe/?p=19616
コツ・ポイント
発酵調味料作りには、厳密な分量の決まりや正解はありません。
BONIQ 発酵食品レシピを参考に、お気に入りの麹で分量を微調整したりアレンジを加えて、お好みの発酵調味料作りをお楽しみください。
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